2010年06月04日

小麦ビール造りⅢ

小麦ビール造りⅢ
5月29日,ようやく醸造樽での一次発酵

を終えて,ビン詰めとなりました。

先立って,おり引きの為もう一度

樽替えをして,そこに120mlの水に

ブドウ糖69gを溶かし込んで煮沸して

冷ました物を加えます。

この砂糖は何かと言いますと

プライミィング・シュガーと言いまして

ビールがビンの中で二次発酵する間に

ビールその物に炭酸を含ませる為の

糖分です。

ビール酵母は糖分をアルコールと炭酸ガスに分解します。こうした個人の手造りビールの場合

機械を使ってガスボンベで液体中に炭酸を溶かし込むと言うのが難しいです。

元手を掛けないビール造りではビン詰め保存が妥当ですが,どうしても生ビールは樽から飲みたい

と言う向きは,飲食店の様にビール・サーバーもしくは樽その物がスッポリ入る冷蔵庫

それに炭酸ガスボンベが入用です。もちろんビールその物を貯蔵する堅固な密閉樽も必要です。

ケグ注ぎの手造り生ビールを飲む醍醐味は魅力的ですが,出費やメンテナンスの手間を考えると

今のところちょっと夢ですね。

なので当工房では主に中ビンを活用しているのですが,1本当たり6.9gの糖を加え暫くすると

炭酸がビールに溶け込み,ちゃんと泡の立つ飲み物になってくれます。

まぁこれも広義の副原料ではありますが,最低限の妥協の産物ですね。泡のないビールほど

味気ないものはありません。

私は極力この糖分の味への影響をなくす為,ブドウ糖を使っています。これはグルコースとも

言いますね。最低分子の炭水化物です。なので舐めてみるとほんとただ甘いだけ。なんの

味わいもありません。ちなみに麦芽糖はこのブドウ糖が2分子連なった物。この程度の分子に

なると酵母は食べる事が出来ます。それより大きいとイーストの口には大っき過ぎるんですね。

ビールの味わいを決めるのは実は酵母が分解でない糖分をどの程度含んでいるか,でも大きく

違ってきます。デキシトリンと言われる多糖類が主で,人間の舌でギリギリ甘味を感じられる

程度の糖類です。なのでデンプンほど大きな分子体ではありません。

これをビールが適度に含んでいると深みと言える様な味わいになるけど,多いとくどくて

よけない甘ったるさを引くビールになってしまいます。もちろんホップとのバランスやその他の

要素で印象は各々違ってくるのであり,それが各メーカーの腕の見せ所になります。


そうして最後の細工をされたビールはとうとうビン詰めされます。

樽の下部に付いている蛇口にシリコン・チューブをつなぎ,反対の先端にはフィラーと言う

液体充填器を取り付けます。これは先端がバネ付き棒のなってて,押さえ付ける時だけ栓が開いて

液体を通す作りになっています。そうしてビンに充填されたビールに今度は上の写真の様に栓を

して行きます。番力の様に見えるのは打栓器であります。

この作業を終えると,ようやく・・・・・・・

「ああ,なんかクラフト・ビールだなぁぁぁ」なんて言う感慨に耽ってしまいます。

小麦ビール造りⅢ

そうして出来上がったのは中ビン(500ml)19本の自家製バイツェン・ビールです。

とは言いましても,直ぐに冷やせば飲めるわけではありません。最低でもこれより2週間

じっくりビン内二次発酵をさせ,せいぜい美味くなってもらいましょう。

もうここまで来れば,あとは冷暗所に保管すると言う以外,出来ることはありません。

ただ見守るだけです。ビール自身にとっては,ある意味ここからが正念場です。今後彼らが(?)

どの様に変化して行くかでビールの性格が決まっていくのです。

とりあえず,2週間後に1本開けて様子を見てみましょうか。

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この記事へのコメント
2週間後が楽しみですね。

「裏通りの気のきいたレストラン」、興味津々です。

食べるのも飲むのも大好きなので...。
Posted by 万里万里 at 2010年06月04日 17:15
万里さん,こんにちは。

そう,人生はささやかな美味い食べ物と
適当なお酒があれば,おおむね幸せ・・・

それと気持ちのいい源泉掛け流しの風呂があれば
もう何も言う事ありません。

いま女房と交渉中です。今年中に伺えたらいいなぁ・・・
Posted by BrewmanBrewman at 2010年06月04日 18:14
brewmwanさん、こんにちは。

そう、そう、その通り!
美味しいお酒とお食事は幸せにしてくれますよね。

その点、私は毎日幸せを感じております。

brewmwanさんも幸せを感じに是非お越し下さい。
お待ちしてます。

奥様にも宜しくお伝え下さい。
Posted by 万里万里 at 2010年06月05日 17:42
万里さん,ありがとう御座います。

美味しい食事とお酒には欠かせない要素・・・
それは環境だと思いますねぇ。
空気と水と景色,これかよければ概ね人は幸せに
なれると思いますが。

職業柄,どうして医食同源を考えてしまいます。
舌に美味しい物は胃袋にも美味しいはず・・。
万里さんの所は魚介類がいいですよね。
それを炭火焼で食べれば最高です。
Posted by BrewmanBrewman at 2010年06月07日 12:11
海を見ながら温泉に入って、美味しいものを食べたら、ほとんどの事は解消するんじゃないかと思います。

brewmwanさんはストレス大丈夫ですか?

私はたまに湯河原まで整体に行きます。
brewmwanさんのところが近ければ、行ってみたいのに...
残念。
Posted by 万里万里 at 2010年06月08日 13:02
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