2012年01月16日
イタリア、食い倒れの旅12コロッセオ編
ローマの朝はこんな朝食から始まりました。
雑居ビルの中にあるフロアーの一部を利用したホテルでは、ダイニングがありません。なので近くのカフェからフロントが注文して部屋に運んでくれるのです。
ちなみに朝食はだいたいどこの宿でも込みです。
ラテンの国はみな宵っ張りで、だから朝メシは遅めで軽め・・・とばかり思っとったのですが、まぁ遅いのはそうなんだけど、大抵どこのホテルも大層な朝メシを用意してくれるのです。
甘〜いクロワッサンに、さらに甘いペストリー、ブラッドオレンジジュースにカプチーノ、これがまぁ基本形。
これに大概クッキー、ラスク、パウンドケーキなどが付いてくる事が多く、更にはチーズ、生ハム、果物と。
中にはゆで卵が出て来たホテルもありました。
朝から卵を食べるイタリア人はさすがにいない様ですが、甘いパンとミルクたっぷりのカフェは普通の様です。もちろん彼らはこれにたっぷりの砂糖を入れるのです。人によってはケーキも食うようで。
遅めの朝食で糖分をとりあえず摂取して頭を起こす・・と言うのは理にかなっていますが、いやぁ〜しかし、日本人的には目覚めにこの甘々攻撃にはいささか参りました。
豪華過ぎるこの朝食は、サービス精神旺盛なイタリア人が外国人観光客を喜ばせようとして、徐々に大袈裟になって行ったのでしょうが、どうせ昼も夜もたっぷり食べるつもりの旅では、朝からこれだと胃にこたえて来ちゃいますよね。
だったらセーブすればいいだけの話し。
しかし目の前にあるともったいない気もしてつい平らげてしまうのでした。
ちなみに息子は朝からチョコラーテ。しっかりこれも甘〜いです。
家ではあり得ない話し。旅行を機嫌良くしてもらう為の、言わば親と子の取引みたいなもんでしょうか。
ホテルからコロッセオに歩いて向かう途中に見付けたお店のディスプレイ(?)
どうです、この甘そうなパイの数々! いやぁ〜、実に甘そうです。 ええ、実際相当甘いでしょう。
どうしてこうもイタリア人は甘党なのか・・・・・?
ラテン気質なのか、ドルチェ屋さんに行くと、ショーケースの中はよりどりみどりのスイーツの数々が陳列してるのが普通。
これは見た目に華やかなこと極まれで、見てると気分が高揚して来ます。
だけどそれ程のドルチェがひとつの店で1日ですべて売り切れる事はそうない訳で、大概は焼いてから何日か経ってるものです。
パイやパン類などの焼き物は当然焼き立てが美味いハズなのですが、それを気にするよりは見た目の勝負・・・とイタリア人は考えてる節がある気がします。
フランスだと朝焼いたバケットは夕方には値が下がるのですが、イタリアはそんなことお構いなしの様子です。
こんな瀟洒な感じの通りを幾つかわたり・・・・
またこんな感じのいい邸宅もあり・・・・
そうしてしばらく歩いていると、コロッセオ前の公園に着きました。
その公園にはテレビ局のリポーターとカメラマン2人組がこんな奇妙な絵でVを撮っているのでした。
まぁ絵的な都合でしょうが、ちょっと間抜けな絵であります。
テレビ局も予算の都合でしょうか、こんな小世帯でロケですか。
去年よりEU諸国を襲っている経済危機。無駄は極力省かんといかんのです。
街から街へと観光客として旅してますと、この国の経済が逼迫してるとは余り実感出来ません。
食べるものはどこも安くって、文化的にも充実しているイタリア。しかしこの頃ちょうどローマでも財政危機の伴う政府の緊縮策に抗議した若者中心のデモや暴動間際の騒ぎが起ころうとしていたのです。
民衆は不満や不安があれば、御上に対して抗議して、更なるものを要求したり、それまで続けた習慣に執着しようと抵抗するのです。
御上は御上でなるべく下々の抱えてる問題の本質から関心を逸らせるべく、いろいろな仕掛けを用意するのですね。
それは例えば朝三暮四だったり、カタルシスだったりと。
このコロッセオは建設開始が西暦72年、完成ががなんと80年。その時代に収容人数4万5000人の石の競技場をたった8年で竣工させたのですから驚きです。
当時のローマ建築技術の高さを言うまでもないのですが、別の見方をすれば、その時代の皇帝の意図が見えて来ると言うものです。
内外の問題から民衆の目を逸らさせ、同時に比類なき興奮を提供してくれる自分に熱狂的な支持を取り付ける為の舞台装置、それがコロッセオだったと言います。それは大掛かりなら大掛かりな程都合が良かったのでしょう。そのケールの大きさがつまり自分に対する支持の大きさとなるのでしょうから。
こうして考えると、お金や政に関する人間のやり方は、中世の時代より余り進歩してないのかも知れません。
様々な安全装置は高度に発達したでしょうが、本質的問題や、人間の煩悩が巻き起こす色々な不都合の要素は、基本的に同じなのかな・・とも思いますが。
外観はなかなか迫力があります。世界的に有名な名所は子供の頃から様々な媒体で目にしているせいでイメージ先行のせいか、実際を見ると意外にスケールが小さかった・・なんて事が多いものですが、これコロッセオに関しては、実際に敵うもの無しの大スケールです。
こんなもん、重機もないあの時代によく造ったもんです。
まだ朝も早かったので、さほど並ばす直ぐにチケットを購入して中に入る事が出来ました。
観光客が立ち入れるエリアと、こうした修復工事を進める人々の活動エリアはきちんと分かれています。
修復作業は今も現在進行形・・・と言いたい所なんですが、先日大変気になる記事を新聞で見掛けました。
今コロッセオは崩壊の危機に面していて、早急に本格的修復工事に取掛からなければ、多くの部分での石の崩落を免れない、との事です。
それにかかる費用は凡そ日本円換算で約260億円だとかなんとか・・・・・。
で、いい事にTod'sグループが無償で修復費用を出費します、と申し出たのはいいものの、今度は国家の有形文化財を民間企業が私物化を企んでいると、消費者団体がケチを付けて、それに怒ったTod'sグループが撤退騒ぎを起こして、今度は政府が慌てふためき・・・なんて事の顛末があった様です。
さて、今後はどのような展開を見せるのでしょうか。神のみぞ知る・・・?
事は単にイタリアのみの話しに留まらず、これは世界有数の遺産であります。憶測に過ぎませんが、世界中の篤志家から無償の寄付を募れば、そんな程度のお金は直ぐに集まりそうな気もするのですが、如何なものでしょう。
こんなスケールの大きい、2000年もの前に人類が築いた遺産を、むざむざタダの瓦礫と砂くれに戻す理由は無い筈です。
そもそもこうして崩壊が始まったのも、大気汚染とコロッセオの真下を走る地下鉄の振動が原因だそうです。
二十世紀もの間持ちこたえて来た優れた建造物が、たった2・30年のぽっちの文明活動で壊されて行くとは、なんとも皮肉な話しです。
コロッセオの内部に入場しアリーナを眺めますと、絵的にはおなじみの光景が広がります。
よく知られている通りグランドレベルの下は、この様に部屋が小分けの構造になってまして、観衆を興奮させる様々な仕掛けがせり出される様に造られていたのですね。
私は子供の頃これを見て、昔のローマの競技者たちは平均台の上を飛び跳ねながら戦ったのだろうか・・・? なんて想像してました。
もちろんそんな筈は無く、こんな仕掛けになってたそうです。まったく手が込んでますね。
場合によっては、グランドに水を張って船上合戦もやったとか。地下の仕掛け部屋にどうやって水かしみ込まない様にしたのでしょうか?
コロッセオよ、永遠に・・・・・なんて願いたい所ですが、諸行無常。形あるものは例外無く何れ消え行く運命であります。
願わくば、せめて孫の代くらいまでは・・などと凡人故の手前勝手な事をつい考えてしまうのでした。
Posted by Brewman at 16:40│Comments(0)
│イタリアの旅
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