2012年03月08日

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

国立考古学博物館での見学を終え、ナポリの下町の界隈に戻って来た私たち。

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

ちょっと遅目のお昼に、適当に入ったレストランでこんなピッツァを頂きました。
マルゲリータとアンチョビとハム、それにアーティチョークを四分割のクワトロにしてもらいました。
お味はなかなか、さすが本場のピッツァですねぇ。やはり生地は塩気が強く、もっちり感があります。昨日食べたダ・ミゲーレのとは特に生地の食感に違いがある様に感じました。
同じナポリの店でも食べてみれば、その店なりの味があり、ひとくくりにナポリ・ピッツァとは言えない事に気付くのです。
ここのビザも良かったですが、やはり自分的には昨夜のミゲーレ・ピッツァに軍配を上げない訳には行きませんか。
それでも感激の美味さ! これでナポリで食べるピッツァも食いおさめ、となりました。

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

昼食の後はサンタルチア港まで戻って辺りをぶらぶら歩き。
もともとナポリはこのサンタルチアのみの小さな漁村だったらしく、始まりは漁を細々営む海辺の寒村だったようで。
象の鼻で港を始めて、やがて発展して行った横浜に通じるところがあるでしょうか。
イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

サンタルチア港は今ではヨットハーバーとなり、漁船はもちろんの事、貨物船や客船などの大型の船舶の姿はありません。
後者を扱うのはその向こうに見えるナポリ港。巨大なクルーザーが目に留まります。先日座礁事故を起こした「コスタ・コンコルデア号」か、もしくは同様の船だと思われます。

サンタルチア港は観光客向けね魚介類を食べさせるレストランが多数あり、こんなところで海の幸のパスタなどを食するのもいいでしょう。
しかし味の方は多少なりとも「お客さん向け」の趣になっていると思われますが。


イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

ホテルに預けてあった荷物をピックアップし夕方にナポリ港に行き、6時にシチリア島はカターニァ行きのフェリーに乗船。予定どおり7時きっかりには出航しました。

懸念していたインターネットサイトの怪しい翻訳機能を利用した予約の変更手続きもしっかり手筈がとの乗っていたようで、無事乗船する事が出来たのです。
今回の旅は完全なる個人旅行で、宿や移動の事前予約の全てをネット経由で行いました。
これまでのところ何の手違いもミスもなく、これってある意味、想定外の驚き。
失礼な話し、イタリア旅行とは思惑を裏切られて困った事態に遭うのが「ふつう・・・」と覚悟してたくらいだったのですが、取った予約は全て滞りなく、とくに嫌がらせや意地悪等の不愉快もなく、むしろ子連れて行く先々みなさん大変親切にしてもらって優遇された程なのでした。
これなら逆に子連れの旅の方が勝手がいいぞ・・・なんて思ったくらいでした。
イタリアの皆様、大変お世話になりました。 Grazie Grazie!


さあ、船にも乗り込み、イタリア本土とはこれでしばらくサヨナラです。
そしてこの旅行でトスカーナの次くらいに楽しみにしていたシチリア島に渡るのです。
太陽の国、シチリア。いったいどんなところなのかなぁ・・・・・?

フェリーではキャビンを取ってゆったり一晩過ごせました。船はどこもこざっぱりとして清潔。
乗客は船の大きさからすると少な過ぎる位に思ったのですが、お客さんの殆どは長距離トラックのドライバーさんたちだったようで。
家族連れなんて私たちくらい。
夕食をするのに食堂に行くと、なんかガタイのいいちょっと強面のおっさんたちが多数テーブルを囲んで食事してます。
私はてっきり「おお、これがかの有名なシチリア・マフィアかな・・・?」などと無責任な想像をしてたのでしたが、ゴメンナサイ、皆様。

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

船は何事もなく、これまた定時にカターニァに到着。多分、朝の7時とかだったでしょうか。
スーツケースをゴロゴロ転がし港から歩いてカターニァ駅まで行き、駅の荷物預かりに荷物を預け、カターニァの街の散策に出る事にしました。
この日は予定で午後よりレンタカーを空港で借り、その足で海のリゾート地、タオルミーナまで行って宿泊する事になっています。
なので午前中はせっかくだからこの街を見てみましょうかと。なんせパレルモに次ぐシチリアの都市だそうですから。
イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

朝早いのもあって人気はまばらで、到着する列車もなし。長い長い貨物列車が一度通り過ぎて行ったっきり。
なんとなうらびれた印象の、ある国の端の果てにある終着駅・・・なんて雰囲気がよくあってるかな。 なんて失礼ですな。
ちなみに向こうに見える海はイオニア海。この先にマルタ島があり、その向こうはもうアフリカ大陸。 
ああ、世界は広いなぁ・・・・・・。


イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

とりあえず駅のラゲージサービスに荷物を置いて、徒歩で街の中心部に向かいました。
この日は朝方降っていた雨が上がりはしたものの、ちっとばかしどんよりした曇り空。太陽の国シチリアの色鮮やかさは少しも感じられず、その上ここカターニャは、どことなく若い時分に放浪の旅をした南米の街を彷彿させるのです。猥雑さと車の排ガスでなのか、すすけて色彩の乏しい街並。
まぁ、それはそれで趣があるのですが・・・。

こんな街・・なんて言ったら失礼極まりないのですが、先シーズンまでサッカー・セリエAのチーム、カターニャに十代の内から何年か所属して頑張っていた森本選手は、まぁなんて殊勝な事と思わずにはいられません。
ほぼ地球の裏側の国の、更に果ての果て。文化も習慣も言葉も違う土地で日本の若者が実力主義の世界で渡り合って行くなんて・・・想像に難しい。
うちのセガレくんが将来そんな事をやらかすなんて月が2つに増えたってありっこネェよなぁ、ってとは想像つくのですが。

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

イタリアはカトリックの国。南下すればする程その信仰の強さが顕著になって来る様に見えます。

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

上に写っているカテドラルはカターニャのドーモ。イタリアの街はどこでもドーモをこしらえてあるようで、つまりそこがその街の中心となるのです。
中に入るとその立派な作りに圧倒されます。北の裕福な都市と比べ、南の、特にシチリアなどはあらゆる事で質素倹約に努めているのですが、こと教会には惜しみなくつぎ込む様でして。
大理石や金細工、それにマリヤやイエスの大きなブロンズ像、壁画に巨大なシャンデリアなどが目を引きます。
撮影禁止なのでお見せ出来ないのが残念。是非ご自分の足で旅してみてはいかがでしょう。

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

ドーモの前は大抵どの街も広場になってまして、ここも例外なく。その広場の中心にはこんな建立物があります。
ナポリにはヴィスヴィオ、それに比肩するがごとくカターニャにはエトナ山と言う活火山があります。世界的にも有名な度々噴火を繰り替えず山でして、十七世紀には大噴火と地震によってカターニャはほぼ壊滅。十九世紀になるまで街の再建が進められなかった程被災したのです。
それでこの象の像なんですが、まぁアフリカも近いので象が昔持ち込まれていたのでしょう、なんの理由かは知れませんが、何時しか象がエトナの噴火から街を守ってくれる、と言う信仰が出来た様です。
なのでこの街の象徴として崇められる、との事です。
イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編




それではぼちぼちランチタイムってことで向かった先は、やはりこんな城壁に囲われ守られた外を歩きますと・・・・・
イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

たまたま日曜日だったので、えらくちんまりしてた市場のすぐそばにあるオステリア「アンティカ・マリーナ」にたどり着きました。

お店の規模はラテス席合わせ、せいぜい5・60席位でしょうか、余り大きな店ではありませんが、ここはヨーロッパ中の食通に知られた美味い魚介類の料理を食わせるレストランなのだとか。だから直ぐに満席になっちゃいます。
私たち昼の開店時間まで余裕があり、時間つぶししてたくらいだったので、半時間程早く行って席を3つ押さえておきました。と入っても我が家の息子くん、昨夜の初めての船の個室、しかも二段ベッドに大興奮していささか寝不足。なので食事中はずっとおネンネだったのですが。
こんな時こそせっかく海の幸の名店に来たのだから、ちゃんと食べておいてほしかったのですがねぇ。

さてお時間になって無事席に着けて、ではどんなもんを食べましょうかとメニューを下さいと言うと・・・・・
「日本語のメニューもありますが、ご覧になりますか?」と。
妻と顔を見合わせて「ええ、ではせっかくですから見せて下さい」なと。
内心、たとえシチリアの魚介の名店とは言え、わざわざ日本人用にメニューをこしらえる程日本人が食いに来るんかい?って疑問に思っていたのですが、持って来てもらったその日本語版メニューを見てみると、なにやらかなり怪しい日本語が・・・・・・・・。
まじめに読むとところどころ吹き出しちまいそうな表現もあって。
これ、なんてことありません。インターネットの自動翻訳サービスを使ってそのままプリントしただけのものの様です。チェックも添削も無しのシロモノ。まともに読むとけっこう笑えるのです。
でもまぁ、なんとか伝えたい事は掴めるので、「信じられない前菜」とやらと、魚介のパスタを2種類、それにテーブルワインを注文。
オーダーを取る時ギャルソンさんが何やら「なんチャラかんチャラ」言っとったとのですが、よく意味が分からず、「ではいいですよ、お任せします」と言ったのが多分伝わってなと思うのですが、後で知ったのは、この店はパスタを店のその日の事情でお任せで頼むと、いろいろ創意工夫でメニューにないものを作ってくれるそうです。
ああ恐らく、それを言ってくれてたのかなぁ・・・なんて今になって思うのです。 残念でした。

運ばれて来たアンティパストは様々な魚介類や野菜など、生あり、湯がいたのあり、マリネありと、小皿で10近くあったでしょうか、出て来ます。ただ普通に食べても美味いのですが、まぁ明らかに日本人的に言えば「酒のつまみ」的な品々。見た目にも食欲を刺激します。
言わばシチリアの食文化の真骨頂なのかも。様々な小皿を突っつきなが美味いワインを飲む。で、充分飲んだら〆でパスタ。まだ食えれば更にメインデッシュを・・・なんて感じなのでしょう。
ワインが好きなので、それをより美味く飲む為にいろいろ工夫をして行って、おつまみの種類が豊富になっていったのだと思います。
美味しかったのですが、食べるのに夢中になって画像を撮り忘れて・・・・・・。

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

こちらは海の幸のパスタ、Pasta ai frutti di mare。日本的に言えばボンゴレ・ビアンコ。こちらの方が馴染みがあります。
ちなみにボンゴレ(vongole)はアサリや蛤などの二枚貝の複数形の単語で、ビアンコ(bianco)は白の意味。
だからつまり、オイルソース仕立ての二枚貝のパスタ、と言う事。これがボンゴレ・ロッソ(Rosso・赤)となればトマトソース・ベースのパスタ・・・となる筈なのですが、実は実は、南イタリア、特にシチリアでは、トマトソースで魚介類のパスタを作るなんてことは滅多にないのです。
あるレストランでリクエストがあったらなんでも忌憚なく・・・と言われたので「ではトマトソースで何か魚介のパスタを作って下さい」と言ったら「それは出来ない」とむげもなく断られてしまいました。
「なんで出来ないの?」と尋ねると・・・「そんなものは未だかつて作った事かないし、これからも作る事はないだろう」と言い退けました。
つまり「我々にはそんな食習慣がない」との事です。
魚介類の料理にパルメザンチーズを振りかける日本人が気味悪がられるのは知ってましたが、トマトソースもタブーだったとは・・・・・。
ちょっと、と言うか、かなりビックリ! 
自分的にはシチリアの味の濃いトマトで味付けした地中海の海の幸のパスタを食べること、それを行く前から心待ちにしていたのでした。
が、それは間違った食文化ですと地の人に言われたのです。
まぁ確かによくよく考えてみれば、強烈なシチリアの太陽をたくさん浴びて育ったこの地のトマトは、それ本来の味がとっても濃密で、それ故もしこれを魚介類に合わせてしまったとしたら、海の幸の旨味をぼやかしてしまう事でしょう。

海外の観光客しか来ないレストランではトマトベースの魚介類料理を出す様なのですが、そうした料理は大概さまざまな種類の貝だの甲殻類だのがてんこ盛りになってます。
しかしイタリア人が地元で通う店では、特にパスタ料理のメインの食材はだいたい一種類です。あれもこれもとはやらないのですね。
美味いものは、それを一番美味く食べる術を優先するからでしょう。
ひとつの料理に多くを求めず、まだ食い足りなければもう一皿注文するのです。それがイタリア流。シンプル・イズ・ベストかぁ・・・

イタリア,食い倒れの旅16シチリア・カターニァ編

こちら見ての通り、イカスミのスパゲッティー。
まぁ特に取り立て驚く程の違いは発見出来なかったのですが、こちらもイカの身が幾ばしか入っている程度で、その他は至ってシンプル構成です。

余りイカスミのパスタとは関係ないのですが、先入観として南イタリアのパスタ料理はたいそうニンニクと唐辛子がガツンとどれも効いているのかと思っていたのですが、これもまた以外や、どこで食べても確かに両方それの存在は解るのですが、ニンニクの香りにむせて、唐辛子に舌をピリピリさせられる・・なんてパスタはどこにもありゃしないのでした。
その料理にはその皿のメインになる食材があり、それを生かすのが優先事項で、なにもペペロンチーノの豪華版を食べに来てる訳ではないのです。
しかし我々はそのベースからパスタ料理を考えてしまうクセがついてしまっているのかも知れません。

カルチャー・ショックをいい感じで受けて、いろいろ勉強になる旅だったのでした 丸


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