2010年03月16日
ビールの生い立ち
2月3日の「古代パン麦酒」では
ビールの起源についてお話しました。
今回は僭越ながらその後の経緯を
話してみたいと思います。
これから語ることは推測の域を
出ません。勉強した範囲で
「まぁこの説が妥当だろう」と
手前勝手に思っている範疇です。
古代メソポタミア人は偶然にも
ビールと言う発酵食品,それも
アルコールと言う飲み物を発見しました。
酵母で発酵させてない固いパンを水に浸してふやかし食べている内に空気中の野生酵母が
取り付きアルコール発酵を始め,それを飲んでみると案外美味かったのでその後の彼らの
食習慣の中に取り込まれていきます。
そうして暮らしているところに,ある日北方からの来客がありました。ケルト人です。
当時自分たちと比べ高い文明を持っていたメソポタミアに言ってみれば留学に来たのですね。
いろいろ学んで帰ったのでしょうがとくに彼らが注目したのがパン麦酒でした。ビールの原型です。
で,帰ると早速彼らはビール造りに取り掛かりました。しかし彼らは同じ手法は取らずその製造に
改良を加えます。発芽させた大麦を粉にならない程度に砕いて低温度の湯で炊くのです。
そうやって大麦の糖分を湯の中に抽出しました。発芽大麦はそのままではただのデンプンで
甘くはありません。しかし60~70度の湯にしばらく浸からせると麦の殻にある酵素の働きで
高分子のデンプンはちょん切られて麦芽糖などの低分子の糖類にされ甘みが出ます。
これに酵母菌が取り付けばアルコール発酵を始めるのです。
ケルト人がどうやって麦芽の糖化作用を思いついたかは知りません。たまたまだったんでしょうか?
しかし大発見です。アルコールの類はみな甘みに酵母が取り付くことで発生するのですから。
それともうひとつのビールにとっての大発見は腐敗防止にポップを使ったことです。
ビールは約60度の糖化液から酵母菌の取り付ける20℃台までに冷める間好ましくない
その他の菌に感染するリスクが高いのですが,ポップを投入して一度煮立てる事でその危険から
大分逃れることが出来ます。ポップは何処にでも生えてる雑草みたいなもんで何時でも手に入り
都合が良かった。それに多少なりとも甘みを引きずるビールの味のバランスを取るのにポップの
苦味が適していたと言う事情があり原料として定着します。それまでは防腐剤として様々なモノを
試したようです。例えばシソやバジル,パセリなど。ベルギービールにはハーブやスパイスを
使った銘柄があります。そのバラエティーの豊富さには敬服します。好き好きがあると思いますが
ビールと言う先入観を取っ払って飲んでみれば結構いいかもしれませんね。
まぁこうしてアイルランドやイングランドのご先祖様たちは「エール・ビール」と言うものを
造ったようです。ちなみに元々エールとはポップの入っていない麦酒,それが入っているのが
ビールと最初は分けて呼んでたそうです。今では上面発酵のビールの総称となりました。
次回はラガービール誕生までのお話を・・・ああしかしまだ腰痛てぇ~なぁぁ・・
Posted by Brewman at 14:56│Comments(0)
│ビール
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