2011年12月09日

イタリア、食い倒れの旅8ポルチーニ茸編

イタリア、食い倒れの旅8ポルチーニ茸編

トスカーナの田舎町、モンテプルチアーノをお店をのぞいたりカフェでお茶したり土地のワインを購入したりの観光をして、なかなかいい時間になっていました。お腹もいい具合に減って来て・・・・・。
と言う訳で当然のごとくお昼ご飯をどこかで、と言う運びに。

国の内外に限らず観光地で食事する所を選ぶのも、楽しみのひとつ、と言えばそうなんですが、また憂鬱のタネでもあります。
食事は旅行の大事なイベントなのですが、それ故ハズせば旅は台無し。
知らない土地で、特に外国ともなれば頼る情報の最たる物はやはりガイドブックでしょうか。しかしこうした物に載ってる所は大概ウマいウマくないは別として、お客の大半は観光客です。その店の味は長年かけてよその土地から来た人々受けする味に変わって来ているのですね。
まぁ、それも善し悪しですが。
その他の手段としては、出発前に人様の書いたブログ記事やネットで検索した口コミ情報を活用するって手が最近はありますね。
私は今回の旅では大分利用させて頂きました。おかげて旅の幅が広がった事は確かです。まったく便利な時代になったものです。
実際は期待通りだったり、それ以上の事もあったり、また当然ハズれもありました。
個人の主観は様々であり、何を好みの上位にしているかと言う価値観は「当たり外れ」ではくくれない事を学んだ気がします。
旅はみな自分が主役であり、いかに満足するかは旅行のマネージメント能力に掛かっているんでしょう。
まぁ、楽しめばいいのです。腹の立つ事やアクシデントも、無事家に帰り着いてみれば、楽しい思い出となるのですよね。

私がこの旅行で最も難儀したのは車の運転でした。
慣れない道路事情に左ハンドルと10年ぶりのマニュアル車。頼りにならない・・と言うよりは大嘘つきのカーナビ。
特にこのアメリカ製のカーナビゲーションには泣かされました。自国で使ってるのと比べれば、もうその違いは「ファイナルファンタジー」と「クレヨンしんちゃん」くらいの差、と言っても判りませんよね。まぁもうとにかくダメダメ。
そしてトスカーナで借りたフォード車の乗り辛い事乗り辛いこと。小型のアメ車はこんなご時世にもなってもまだ乗り手を考えた車造りが出来てないって感じ。これじゃ会社も傾くよね。
翻ってシチリアで借りたフィアット車は大変使い勝手のいい車で、「イタリアの大衆車なんてどうせ大雑把で・・・」と内心馬鹿にしてた事を反省させられました。 
しかしイタリア人の運転の荒いのには参りました。モタモタ運転してる事を許してくれません。みな自分の運転に自信を持っているからなんでしょうが、とばすは、どこでも追い越しかけるは、信号のない交差点では早いもん勝ちばかりによく見ないで突っ込んで来るはで、オッカナイおっかない。こちらはそれにビビって慎重に運転してるとクラクションの雨が降ってくるのです。
イタリア人にはどこでも親切にしてもらって感謝してるのですが、事車に関して言えばまったく容赦ない人々。それとみな血が騒ぐのですかね、ハンドル握ると。なんせ名だたるスポーツカーを多く世に送り出してる国ですから。
でもあんな高価な車が走れる様な道路かよ?って思います。道はガタガタで走り辛く、幅員が狭いのにもかかわらず路駐だらけ。
南に下れば下る程に道路事情は悪くなるのです。
でもまぁ、私の運転がトロくていけないのです。四十代になってからと言う物、特に動体視力が落ちた気がします。もう速いスピードに目が追いついて行けない感じ。移動速度が速まれば視野も狭くなるので、見落としが無い様注意すればモタモタとさも自信なさげな運転となるのですね。
それにしても、今回レンタカーを借り知らない国を旅で来た利便性、自由度、これは何にも返られなかったと噛み締めています。
それに様々なドタバタや車内での家族のすったもんだの数々、それらは日を追う毎に喜劇の色を帯びて思い出となって行くのです。

元々長い話になりがちの男の話が、余計な事で脱線し、で何の話だったっけ?なんですが・・・・・・、そう旅先でどうしたら満足出来るレストランにたどり着けるか、と言う話だったんですよね。
結論から言いますと、地元に人に聞くのが一番・・・と言う当然の話し、だったのでした。
あまりにも当たり前で、でもこれってなんとなく避けがちな手なんですね。とくに言葉がよく判らない国では遠慮しがち。
誰に聞いてもいいのですが、誰だっていいとなると、では誰にどう訊いたらいいやらって。でもって訊かずに適当に入ったらやっぱ失敗しちゃった・・・。でもって誰がこの店選んだんだって連れと責任のなすり付け合いが始まったら、旅事態に暗雲が立ち込め始めるのです。


イタリア、食い倒れの旅8ポルチーニ茸編

もしかしたら、今回の旅行でリストランテと名のつく所に入ったのは、ここが最初で最後だったかも知れません。
その後利用したのはトラットリアやオステリアと名のつく所、もしくはピッツアリアばかりだったと思います。
こうして写真を改めて眺めれば、ちゃんと書いてはあるじゃないですか、「Ristorante」と。おおスゴいすごい。

イタリア、食い倒れの旅8ポルチーニ茸編

何故なんでしょうか、どういう利点があるのか知りませんが、イタリアのワイングラスはこうしてボディーの一番幅のある所が角張っている物が多いのです。昔のワインはおりが多く、よってここでおりを止めて飲んだ頃の名残なんでしょうか。もちろん今のイタリアワインがおりでどんより濁っているなんて事はありません。

トスカーナは特にRosso(ロッソ)、赤ワインではイタリアの最高品種を生産している土地でしょう。土壌はミネラルが豊富で、気候は乾燥して昼夜の寒暖の差が大きい、正にワイン用のブドウを生み出すには最高の環境が整っています。
トスカーナ人はその土地で獲れる野菜や肉が中心の食生活です。家畜類はもとより獣などを捕まえて作るジビエ料理なども得意です。
なので適当な赤のテーブルワインは欠かせません。まぁ、食事をする時の都合のいい水です。多少獣の臭みの残った肉料理を食べるのに適した、食を進めやすくする為の水です。それは適当に肉の臭みを消す作用のあるタンニンの渋みがあり、食べ物の喉越しを邪魔しないように酸味と糖分がバランスのとれた物でないといけません。ここでは余りワインの個性は重要ではないのです。
そして樽に仕込んでせいぜい1年くらいで飲める物。余り長く醸造に掛かるようでは、テーブルワインには間に合わないのです。
商品としてよその土地にボトル詰めして売るのとは基本的に異なる、言わば非売品の類いでしょう。
しかしこうしたテーブルワイン、あるいはハウスワインと呼ばれる物の方が、私はワインと言う飲み物本来の姿がある様な気がしてならないのです。ビンテージ物の良さはあるとして、生活により密着した、食べ物とともに自分の血肉になってくれるもの。
実際、この土地のワインは郷土料理に良くあい、それ故食が進み、またそれ故ガブガブと呑んじゃうのです。
美味い酒・・と言うよりは、ウマい水・・・かな。それも気分よくしてくれる水なんですね。


イタリア、食い倒れの旅8ポルチーニ茸編

これは前にも紹介したトスカーナでは最も好まれているPICI(ピチ)と言う卵を使ってない太麺の生パスタです。それにラグーソースを絡めたもの。アグリツーリズモのルチアさん宅でも頂いた一皿。だからほんとこっちの人はこれをよく食べてる様です。特にこのラグーソースでのものが多く、その他レバーなどの内臓系ソースでもよく食べる様です。
パスタはとても歯応えが良く、日本のうどんに似て異なる物。手打ちのコシの強いうどんとも違います。多分、このパスタをうどんの汁で食べても美味くないでしょう。土地の料理は、その土地の空気・水に合うように進化しているのでしょう。

イタリア、食い倒れの旅8ポルチーニ茸編

こちらはポルチーニ茸のリゾット。ちっと塩っぱかったけど絶品の一品でした。イタリアのリゾット米は日本のうるち米とは違い、粘りがあまり出なく、水の吸いがいい特徴を持ってます。だからうるち米のように水付けと蒸らしが必要なく、鍋ひとつで作れます。
日本の米がふっくらさせて割と強い粘り具合が好まれるのとは対照的です。それと米の粒が丸に近い位の形をしてます。リゾットの命は芯を残すアルデンテに仕上げる事で、その点向いてます。街のスーパーでリゾット米を自宅用にと選んで買ったのですが、いい米程丸みが強いと思いました。

具材のポルチーニは、出国前から大変楽しみにしていました。秋が収穫期のこのキノコはこの時期でないと生ではなかなか食べられないのです。長距離輸送もダメ。なので日本で食されるのはみな乾燥か冷凍モノ。乾燥物は水で戻して、冷凍のは解けないうちに調理します。でないとしぼんでしまうのですね。冷凍するのは少しでも生の食感や風味を残す苦肉の策なのですが、やはり生ものと比べれば大分落ちるでしょう。

日持ちのしないこのキノコをそれ本来の姿で食べられるのは、この時期にこれが採れる国にいる者の大いなる特権です。イタリアに渡って3日目、やっとありつけました。
勇気を持ってあえて言うならば、あじ風味は松茸と椎茸の特徴を合わせた感じ。で食感はナメタケ様にいくらかヌルリとした感じがありますかね。意外にも我々が知っているキノコの特徴に相通じるものがあります。それと言い足すなら森の土を思わせる、正に土っぽい印象を抱かせる野性的な味わいでしょうか。
やっぱり以前食した乾燥モノとはまったく別物。乾燥椎茸は場合によっちゃこっちの方がいいってのがあるけど、これに関しては生に勝る要素はまったくありませんね。
ポルチーニの適度な粘り気がアルデンテのリゾット米にまとわりつて実にマッチしてます。これは美味いウマい。
このキノコがこんなにリゾットに向いているなんて思ってもいなかったので、なんかめっけもんした嬉しさでした。

翌日モンテプルチアーノからローマに向け車を走らせていると、街道の路肩に軽トラックを停めてポルチーニ茸を売ってる臨時露天商がよく目に付きました。この時期は日本でもちょうどこんな感じで松茸を売っているおじさんたちがいますね。こんなところはイタリアでも同じなんてちょっと笑えます。
もしもう1日トスカーナでの時間があったなら、ルチアさんのアグリツーリズモのキッチンで網焼きしてみたかったものです。
松茸とは違って、そんな食べ方はしないのかな? しかし一回くらいは自分で生のポルチーニ茸を調理してみたかってものです。  
まぁまた何時…か、があるのかなぁぁぁ?


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