2011年01月14日
湘南ビール
湘南茅ヶ崎の香川駅から程近い田園地帯に,熊澤酒造と言う酒蔵があります。ここは創業は何年に
なるのでしょうか? この酒蔵施設内に湘南ビールとそのビア・レストラン,そしてベーカリーが
あります。地ビールが出来たのは,早くとも93年の,当時の細川内閣で行った酒税法改正によって
小規模ビール会社設立が可能になった後でしょう。
この改革により,年産6万リットル以上生産・販売できる製造者はビールを業としてよし,となった
のです。しかし年産6万リットル,と言ったら,かなりのもんです。それ程の量を造って売れる
なんて事をやれるのは限られます。個人でそれを賄う設備投資をして,尚且つ販路を確保する
なんて至難の業。ではそんなこと比較的容易く対応できそうな所はどこか?と言う話しです。
バブル崩壊により経営が窮地に陥った日本酒の酒元。それを救済する目的での法改正であった
なんて言われたものです。あながち間違いではないのかな,とも思います。
ですから日本の地ビール会社は圧倒的に日本酒屋さんが多いのですよ。まぁ同じアルコール
ノウハウは応用が利くでしょうし,設備は転用が利きます。販路だって趣向の違いはあるでしょうが
ゼロから開拓,なんてのとは雲仙の差でしょう。
地ビール第一号は新潟の「エチゴ・ビール」と言われています。ここと並んで同じ土地では
「スワンレイク・ビール」がありまして,両者はやはり元が酒蔵。さすが酒どころです。
これとは対照的に独立系で成功しているのが沼津の「ベアード」,仙台の「ベアレン」などで
しょうか。みな魅力的なビールを造ります。しかし独立系の2社は困難な環境下,よく経営を
軌道に乗せたと思います。どうしたって高く付く地ビール,安くは売れません。飲み手を納得させ
るだけの物を安定して造り続け,売り続けて行かねばなりません。せめて不公平なビール税だけでも
もう少しどうにかならないものでしょうか?
この湘南ビールも例に漏れず日本酒造りが元々の生業です。今も造っているようですが,ビールと
比べ,どちらが今は主役なのか・・・・・。
11時半のレストランの開店を待って席に着きました。
まず頼んだのがこれ,「デュンケル・バイツェン」です。期間限定モノのようです。
おつまみにモルトが付いてます。少しとってかじってみると,甘いモルト風味がそのまま口の中に
広がり,面白い感じ。正にビールの元。これを煮出して麦汁を作り,イーストを降り掛けて醗酵させ
れば,簡単な話し麦酒の出来上がり。細かい注意点はいろいろあるのでが,プロセスはいたって
単純なので,素人でも造れるのです。ですから日本酒などと言う,この世で最も製造工程が複雑で
経験がモノを言うものを造り続けている人たちからすれば,ビール造りなんてお茶の子さいさい
なのかも知れません。しかし,です。それがウマイかどうか,または人様の好みに敵うか否か,は
また別の話しです。
最初のこの一杯,わりといいと思いました。色濃い目の小麦ビールです。軽くローストしたモルトの
香ばしさは嫌味にならない程度にあり,香りはバナナ様の匂いよりクローブ様のスパイシーさが
前に出ています。私はスパイシーなバイツェンは余り得意ではないのですが,これは食前酒として
食欲を掻き立てる感じの風味で,なかなかです。炭酸のきめ細かい刺激が舌を軽く攻撃してくる
感じで,クローブ様のスパイシーさによくマッチしてる感じ。
おお,けっこうやってくれるじゃないの,湘南ビール。これまで飲む機会の無かったビールです。
それではお次は・・・・・・・・
「湘南リーベ」。いまこの麦酒会社イチオシのお品のようです。なんでも「世界ビア・カップ2008」の
黒ビール部門で金賞とったとかのモンですって。さて,お味はいかがなモンでしょうか・・・・・・・
匂いはあんまりしません。とくに特徴なし。で,一口飲んでみますと,「アレレ・・・・・?」って感じ。
世界最大のビア・コンテストでメダル受賞ってフレコミですから,それなりかなと思って飲んだ
のですが,匂い同様なんかなんも特徴がない感じ。どういう計らいか知りませんが,こんな水割り
飲ませるような,もしくは値の張るレストランで生ジュースとか頼むと出て来るようなグラスで
どうして飲ませるの? 意図が判りませんよ。なんか余計に味気無い感じ。 う~ん,判らん!
前々からよく疑問に思っていたのですが,地ビール屋さんが「なんちゃらコンペティション」とか
「ほなゃららインターナショナル」での金賞とか銀賞何年度受賞モノ,なんてうたい文句で宣伝
してますが,あれってホントなの?っていつも思うんですよ。実は地ビールの数だけ大会やタイトル
があんじゃねーの?って疑いたくなる(ああ,言っちまった,言っちまった・・・・どないしましょ)。
しかしこれである年の「世界一」って,いったいどんな世界一なんじゃろけ?って思うのだがぁ・・・・
まぁいいでしょう,他人さまの好みはそれぞれでんがな。 お料理をちょっと・・・・・・・・・
こんな前菜に取り合わせで取ったのがこちら・・・・・・・
のパン。ベーカリーは前述のように同じ敷地内にあります。
感じのよい中庭を挟んでレストランの左手,ビール工房前の建物に位置します。ここで作って
売ってるのですね。食後中庭のベンチに座って日向ぼっこしてると,近所や他方からパンを
買いにお客さんが次から次と来ます。私たちが頼んだのは盛り合わせで300円するもの。
正直これびっくり!ウマカッタ。「なんですか,この旨さは?」ちゅー感じ。多分自然酵母パンなん
でしょう,ふっくらした,と言うよりは,実が詰まったガッチリしたパンです。食べ応えがあって
満足感が得られます。自分が食べた事のある自然酵母パンの中ではピカイチでしょうか。
なんせ日本酒とビールを造ってる所,活性した酵母はいくらでも取れますよ。と言うことは・・・・・・・
日本酒やビールのオリをタネお越ししてパンを焼いているのでしょうか?
まぁそれは知れませんが,とてもイケてますよここのパンは。大好き。
ピザは石窯焼きと紹介されてますが,見るところスティール製の窯ですね。ピザの耳のところは
もっちりした感じでてて,わりにいい感じです。中央部分は具材の湿気でヘタってしまってて
ちょっと残念。ほんとの石釜だったらもっとパリッと焼けてるのでしょうか。
しかしやっぱりパンの良さはピザからも判ります。小麦は北海道産のみを使っているとか。
これは手長エビの自家製パスタ。エビ味噌が染みたクリーム・ソースをパンですくって食べると
えらくウマカッタですよ。しかし手打ちパスタはなんかうどん,それそのもの。タマゴ無しの
自家打ち麺なので,それりゃそうなるかな・・と言うところです。
最後に飲んだのがこれ,「湘南ビター」。ピルスナータイプですねぇ。日本人お馴染みです。
コクがあって少しの甘味で苦味は多少強めでしょうか。ボヘミアンと言うほどではないですが
日本のラガータイプよりは味を残しているくらいかな。それなりに優秀なビールでしょうか。
しかしこれは地ビールです。値は大手市販モノよりずっと割高です。まぁこれだったら缶で売ってる
緑エビスの方がいいかな・・って感じ。 う~ん,地ビールってむずかしい・・・・・?(なにがやねん)
しかしワタシ,他所のビールはさんざん言ってケチ付けて,なんかサイテーの男でんがな。
そんてもって自分が造ったものは絶賛します。ほんま,どーしょーも無いヤツでっせ。
信用ゼロ。こんな男の言う事なんも真に受けんで下され。 ジャンジャン
Posted by Brewman at 15:38│Comments(0)
│ビール
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