2012年04月27日
イタリア、食い倒れの旅19シチリア・スイーツ編
シチリア滞在3日目は、早々と朝食を済ませ、向かったのは南の港町シラクーサ。
滞在先のタオルミーナから高速道路アウストラーダをひたすら南下、カターニャを経てシラクーサのインターを降りれたのは3時間後くらいだったでしょうか。
ちょっとくたびれたかな。なんせ慣れなと土地でのレンタカー運転。道路事情は日本とは大分違います。
南に向かって高速道路は未だずんずん延長途上の様子。だから何年か前のガイドブックや人様の旅行記にはなかったところまで道路が延びててくれてて、思いの外早くに目的地まで着けたりしたのですが、やはり感覚やメンタリティが我々とは大分違うのですね。建設途中の道路でもとりあえず開通させ車を通したりしてます。
ですから途中で唐突に舗装泥道路が砂利道に変わったり、中央分離帯が除けられ反対車線側を走らされたりと・・・。 まぁ、いんだけど。
シラクーサはのどかな港町と言った風情の、大変感じのよい街です。元々は古代ギリシャの影響の下、発展を遂げた地中海の街で、なのでとりわけシチリアの中でもギリシャの雰囲気が色濃いでしょうか。
この街の見所と言ったら一番は海の幸や野菜果物、乳製品などがよりどりみどりのメルカード、市場でしょう。
私たちはたまたま日曜日なのもあって、あえて行かなかったのですが、ただ旅行中にその土地の市場を覗くのは大変楽しいのですが、生ものはそうそう買えないと言うのが残念なところです。
少しばかりの果物くらいならいいのですが、まさか生の肉や魚を買う訳にも行かないし・・・って訳です。
宿にキッチンがあれば自炊と言う手もありますが、せっかくの旅行、その土地の人々が作る料理を食べなければかえってもったいないとも思います。
もうひとつの見所と言ったら考古学公園でしょうか。
ここは現存するモノの中では最大の規模を誇ると言うTeatro Greco(ギリシャ劇場)がありまして、それを建設するのに必要だった石の切り出し場がすぐ近くにあるのですが、いったいなんでしょう、何時しか石を切り出して行った後に出来上がった人工の洞窟の方に後世の人々の関心が集まる様になったのです。
その名も「ディオニュソスの耳」。
ディオニュシオスと言った方が正式らしいのですが、これはギリシャ神話のオリンポス十二神の一人で、ブドウ酒と酩酊の神様だとか。
別名バッコスとも言い、イタリア語で飲んだくれの事をバッコとか言うそうです。
酒神ですな。それに留まらず「酩酊の神」と言うところがなんか面白い。
また若い頃のゼウス神(ディオス)でもあると。
若い頃にいささか酒癖が悪く、しかも噂に聞くところ夜な夜な乙女のしとねに忍び込んでは・・・・・・・なんてことも多々あったとか。
後者に関してはその後最高神に昇格した後も度々あったと神話の中には出て来るのですが、まぁある意味言葉が可笑しいのですが、人間臭いと言いましょうか。
このディオニソスの耳、入り口割れ目の切れ上がった先端まで36mもあり、奥行きはなんと45mもあるのです。
何ゆえここがそんなにも観光名所となったのか・・・? そしてディオニソスの名を冠した呼び名になったのか・・・です。
この洞窟の形状。どう見ても女性器を連想させずにはいられません。入り口の形状と言い、奥行きの深さとその暗闇。
耳と言っちゃあミミですが、酩酊の神様ですから、きっと意味合いがあるのでしょう。
こうした偶然の産物ではあったものの、それは不思議と神秘的な魅力を醸し出し、人々を引き寄せる魅力を期せずして伴ってしまったのてす。
女性器は性交時の連結部分でもありますが、また一方産道でもあります。現世と黄泉の国を隔てるトンネルでもあり、この巨大な岩の割れ目が見るものに神秘的な感慨に耽る余地を与えているのでしょう。
まぁちょっと、酔った気分になれるのですね。
郊外にあったギリシャ遺跡の考古学公園からシラクーサ先端のオルディージャ島、街の中心地に行ってお昼食をする事にしました。
もちろんここでも中心に当たるのはドーモ前の広場です。その教会の塔にはこんな手の込んだ彫刻がしつらえてあります。
マリア像なのでしょうか、しかし表情は少女っぽいあどけなさがある様に見えます。
慈悲に満ちた、でも何処かもの憂気な印象を与える少女の眼差し。
僭越ながら女性の表情を評させて頂くならば、使い古された陳腐な例えではありますが、それには2種類あると思います。
ひとつは泣き顔なのに何故か笑ってる印象を与える顔。
もうひとつは微笑んでいるのに表情の陰に憂いだものを感じさせる顔。
前者は大概においてブスの類いであり、後者は慈愛に満ちたマリアを思わせる美しい方であるのです。
容姿がと言うよりは、性格の美醜とも言いましょうか、ブスは何時の世も大概要求が過多で我慢と言うのを知らない。
慈愛の女神は恵みをもたらし自らは欲求をしない。
どちらも女性の一方の側面であり、どちらかに偏ってても女としての幸福を手にする事は出来ないのでしょう。
だからどちらがいいと言うのではないにしても、まぁオトコ的には慈悲と美しさを兼ね備えた奥方がいいと言う、まったく手前勝手なファンタジーを諦めきれずに年老いて行くのでした。
ランチに選んだのはこれが食べるのはじめて、ポルチーニ茸のブルスケッタです。
どうやって焼いたんだろうか・・と思わせる一皿大のパンを薄くスライスして、その上に各種具材とモッツァレラを乗せ焼いたもの。
イタリア中どこでも良く食される、昼食の定番料理でしょう。
ピザゃパスタの飽き足らず、なんかたまにはバリエーションで、って時に最適です。日本風に言えばピザパン。なんか古い言い方。
でもこれ結構ウマかっです。ポルチーニの適度なぬめり気と独特の風味に焼けたチーズの味、下がパリッと焼けた薄切りのパン、三位一体の味はシンプルゆえの美味しさだったでしょうか。
さて、昼食後に向かったのは、シラクーサより更に南に30分、ノート(Noto)と言う小さな田舎町。
お昼を終えしばらく散策した後に出発したので、付いた時にはもう既に夕暮れ時になっていました。
西日の色が次第にまして行く町は、子供たちが教会前の広場でサッカーに興じ、老人たちはベンチに繰り出し世間話をし、日暮れに合わせて今日1日の身繕いを急ぐ小鳥たちのさえずりで満たされる、のどかなのどかな南の果ての世界です。
観て回るのに半日も必要としないこんな小さな町ですが、けっこう外国からの観光客を目にします。まぁ私たちも例に漏れず・・なのですが。
情緒あふれる街並がその理由の最たるものなのですが、もうひとつ挙げるとしたら、この町にはここ「カフェ・シチリア」があるからでしょう。
なんて事はありません、我々もここが目当てでわざわざ更に南に下って来た様なもんですから。
この店はどういう経緯でそれ程にも名が知れ渡る様になったかは知りませんが、何でもヨーロッパ中のスイーツ愛好家に認知されている様なのです。
ロケーション効果ってのもあるでしょう。イタリアの南の最果ての小さな田舎町の絶品スイーツ。ロマンを感じない訳には行きません。
注文したのはパイ生地で包み込んだ様なチーズとチョコレートのケーキ。それにカプチーノとアメリカーノ。セガレは例によってチョコラーテ。このチョコラーテはめちゃ甘かったのですがラテ・カルドー、スチームしたミルクで好みに割って飲んだら非常に美味しくなりました。
ケーキはなかなかどうして、イタリアのスイーツ、特にケーキは激甘モノが多くって、時に閉口したもんですが、ここのは適度な甘味加減で、けっこう美味かったです。
まぁ、ロケーション効果もたっぷりあったでしょうが。
でもタオルミーナから車で長々と運転して来てこの町にたどり着き、最後にこのドルチェにありつけ、満足のゆく締めくくりが出来たと感じさせるに充分のものだった事は確かだったと思います。
もっとも、その後暗闇の中を来た分だけ真っすぐ北に帰って行かねばならなかったのでしたが・・・・・・・。
シチリアを代表するお菓子と言えば絶対に外せないのがこれ、カンノーロ。ガイドブックにはこう記されているのですが、現地では確かトローネとか言ってたと思います。聞き間違えか勘違いの心配もあるので保証は出来ないのですが・・・。
このお菓子は大概どのお店屋さんのショーケースに常時置いてある定番品でして、種類も様々。
アーモンド・パウダーを練り込んだパイ生地でリコッタチーズとレモン果汁で作ったフィリングを包み込んで焼き上げたのが基本形で、バリエーションで砂糖漬けのフルーツやチョコレートを合わせたものなどなど、いろいろあります。
シチリアの人は料理にも大変よくリコッタチーズとレモンを用います。土地の名産品をスイーツにも応用するのですね。
リコッタチーズとレモンの酸味が香ばしいアーモンド風味のパイに良くマッチしていて、改まってドルチェと言うよりは、小腹が空いた時にちょっとどこか近くに立ち寄ってつまみ食いする感じの焼き菓子って感じです。
余り甘くなければ健康的でもありそうだし。
シチリアと言うよりは、イタリアで外せないスイーツと言ったらジェラード。
食感はもっちり糸を引く程の粘り気があってまったりとしています。でもこれもいささか日本人的には甘過ぎのが多いでしょうか。
特に変わったものではないのですが、アイスクリームの原液を低速ミキサーで練りながら凍らせて行くと、あの食感になります。
家で食べてるアイスクリームを半解凍してフードプロセッサーで撹拌してやると、大体似た様なものになる筈です。
イタリアでは其れこそ犬も歩けばジェラード屋にぶつかる、って程に探すのには労せないのですが、どうもアイスクリーム屋さんは別営業って感じがします。レストランやカフェなどに必ずと言っていい程あるのですが、ジェラードは別会計ってところが多い。
どうしてでしょうか? 大手の委託販売ってスタイルのせいなのでしょうかね。
ジェラードならばなにもシチリアでなくたっていいのですが、その他の土地で見掛けなかったもので、しかも特に中でも美味しくってあれならまた食べてみたいと思ったのがピスタッチオのジェラードです。
見た目は抹茶アイスクリームそのものなんですが、味は今まで感じた事の無い風味でして、これはなかなかイケてます。
もう既に日本のどこかでもあるのかも知れませんが、これはジェラードのもっちりネバネバ感にもよく合ってて、もし身近で食べれるとしたら嬉しい限りですね。
ちなみに写真はチョコラーテを頬張る小さな宇宙人の様です。
Posted by Brewman at 16:10│Comments(2)
│イタリアの旅
この記事へのコメント
しばらくぶりです。
まだ続きがあったんですね。
興味深い写真です。
シチリアの海岸の家々は、ふと地震を思い出し津波があったら
なんて考えてしまします。今まで歴史的にもそんな話は聞いた
事がありませんが・・・・・・・・。
何処の国でも、宗教的な建築物は素晴らしいですね。ヨーロッパの
古い教会の壁画、彫刻は手の込んだ素晴らしいものが多いです。
日本でも仏教などの寺院も同じですが・・・・・・。
実際行って見物したいとも思いますが、夢で終わります。
素晴らしい旅行でしたね。
まだ続きはあるんでしょうか。
まだ続きがあったんですね。
興味深い写真です。
シチリアの海岸の家々は、ふと地震を思い出し津波があったら
なんて考えてしまします。今まで歴史的にもそんな話は聞いた
事がありませんが・・・・・・・・。
何処の国でも、宗教的な建築物は素晴らしいですね。ヨーロッパの
古い教会の壁画、彫刻は手の込んだ素晴らしいものが多いです。
日本でも仏教などの寺院も同じですが・・・・・・。
実際行って見物したいとも思いますが、夢で終わります。
素晴らしい旅行でしたね。
まだ続きはあるんでしょうか。
Posted by なっちゃん at 2012年04月27日 17:59
ナツ様、お久しぶりです。
しばらくこ忙しくて更新がままなりませんでした。
そうです、まだ完結していなかったのですよ。
一応次回を持って「イタリア、食い倒れ旅行記」の
最終回になるかと予定してます。
この旅行記はどちかと言えば、我が家の旅の記憶を
形にしたい・・・と言う趣旨で書き進めて来ました。
人様がご覧になっても余り旅行の参考にはなってない
のかも・・とは思いますが、まぁ自分が楽しんで来たので
よしとしようかと。
手前勝手な旅行記でしたが、よろしかったらまた次回を
お楽しみください。
しばらくこ忙しくて更新がままなりませんでした。
そうです、まだ完結していなかったのですよ。
一応次回を持って「イタリア、食い倒れ旅行記」の
最終回になるかと予定してます。
この旅行記はどちかと言えば、我が家の旅の記憶を
形にしたい・・・と言う趣旨で書き進めて来ました。
人様がご覧になっても余り旅行の参考にはなってない
のかも・・とは思いますが、まぁ自分が楽しんで来たので
よしとしようかと。
手前勝手な旅行記でしたが、よろしかったらまた次回を
お楽しみください。
Posted by Brewman at 2012年04月28日 08:33
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