2012年01月26日

イタリア、食い倒れの旅13ピッツア編

イタリア、食い倒れの旅13ピッツア編

コロッセオを充分見学した後は、古代ローマ時代の政治・経済・商業の中心であったフォロ・ロマーノをサラッと散策。
時代にして3世紀から6世紀頃と言われてますから、当然辺りは遺跡だらけ。

イタリア、食い倒れの旅13ピッツア編

正直わたし、遺跡とかは判らんとですよ。あまりピンとこないと言うか、まぁつまり教養の問題なんでしょうねぇ。

過去のある時代の、人々の営みややらかした事件とかに、思いを馳せ、そこに人間の壮大なドラマを手前勝手に空想する、ってのは大変な知的エクササイズと言いましょうか、高尚な趣味と言えましょうか。

ああだだ残念、我が輩にはその手の才能がありませんですよ。

イタリア、食い倒れの旅13ピッツア編

こちらは何かにつけよく話しに出て来る元老院だったっけな。ごめんなさい、未確認です。何分歴史音痴でして・・・。



イタリア、食い倒れの旅13ピッツア編

帰り道は地下鉄「コロッセオ」と言う駅から乗車。宿に帰って荷物をピックアップ。その足でローマ駅に向かいました。

ちなみにこの地下鉄がコロッセオの真下を走っているらしく、その振動で崩壊が止まらないだとか。
またなんでそんな直下に線路通すか?って話しなんですが、そこんところがラテン的と言うかなんと言うか。
問題があったらなおせばいいじゃん・・・ってノリなんでしょうね。大らかな気質ですよね。

駅に着いてナポリまでの特急列車の切符を買いました。
はじめ切符売り場とごかしら・・と探していると、ただの人気の無い壁に自販機がありまして、英語バージョンを選択したら、意外にも簡単に目的のものが購入出来、ちょっと拍子抜け。
わりと便利じゃないですか、この国。

その後、出発までの時間を駅ビルのビュッフェで昼食して過ごす事に。
ウチの子、試しに少しの間放置してみて、遠くから観察してみると・・・・・、意外にも普通にしていて落ち着いています。
おおなんだ、案外セガレも逞しいじゃないかぁ・・・・なんて感慨にふけったりして。
まぁもっとも、出国前に買い与えた「てれびくん」に見入っていただけだったのです。

イタリア、食い倒れの旅13ピッツア編

こんな面構えの国営鉄道の列車で2時間余り。乗り心地はけっこう快適です。
気が付けばもうナポリに到着。

イタリア、食い倒れの旅13ピッツア編

10月15日のナポリは雨風模様。ローマより南に下ったのに随分肌寒く感じます。
ローマは天気が良ければ半袖で充分な位だったのが、ここナポリの方が雨と風の影響でしょうか、ずっと気温が低くなってます。

雨はともかく風が強いのには、いささかイメージ外れな観です。
ナポリって言えば、温暖で陽気な港町・・・って先入観だったのですが、翌16日は快晴日になったものの、風は一層強まり、もうすっかりイメージ崩れの港町となりました。

ちなみに正面に見える山がビスビオ山と言いまして、風光明媚なナポリの景色の象徴でもありますが、あれが大噴火して古代都市ポンペイがそっくり一晩で埋もれてしまったのでした。




イタリア、食い倒れの旅13ピッツア編

ナポリと言ったら、やはりまずこれを語らねばならないでしょう。 ピッツアです。

世界中にあまたピザ屋があり、その多くがナポリのピザを模倣しようとします。
そのナポリの中でも別格な存在の店がこのダ・ミゲーレ(Da Michele)。言わばピッツアのバチカン市国、総本山的存在です。

創業は100年以上前、この店で出されるのは3種類のサイズの違うマルゲリータと、オレガノ・にんにく・トマトソースのみで焼いたマリナーラのみで、ドリンクはアズーリ・ビールとファンタ1種類にコーラだけ、と言うシンプル構成です。


宿を取ったサンタ・ルチアから歩いてムニチーピオ広場まで歩いて行ってバスに乗ったのですが、そのバスが夕方の時間は大混雑。
そして私はこのバスの中でスリ集団に囲まれ大ピンチに陥りました。
辛くも防衛に成功して事なきを得たのですが、おおなんととってもディープなナポリ体験を味わったのでした。
そのお話はまた何れ。

ダ・ミゲーレはウンベルト1世通りと言う街の幹線道路から入ったすぐの所、スカッパ・ナポリと言う下町の外れにあります。
店構えは至って普通・・と言うか地味そのもの。我々が到着したのは夕方の7時前。晩飯の遅いイタリア人のせいか、あるいはたまたまだったのか、店の前は人気も無く、見過ごす程の目立たなさ。
中に入るとある程度客がいるものの、空いてる席はまだあり直ぐに座らせてもらえました。

過去の名店も名声だけが残って、既に今はただ在り来たりの店になっちゃった・・・なんて例は枚挙に遑がないのです。来るのは地元民ではなく観光客ばっかり、と言うのがありがちな話しです。
注文した品が来る間、座って他の客が食べてるピッツァを見てみれば、形は奇妙な楕円形に近く、縁はちと焦げ過ぎな感じの案配。トマトソースとモッツァレラが乗ってる中央部分は薄っぺらくてペラペラ。切って持ち上げるとだらし無くしなだれてチーズがただれ落ちそうな様子。マルゲリータのバジルの葉は真ん中にほんの申し訳程度に二三枚チヂレて乗ってるのみ。
しかも意外だったのが、みな切り込みのないピザをナイフとフォークで食べてます。これもまったくイメージ外。
ここに限らずナポリのピザ屋はみなこのスタイルでした。

「うぅぅ・・・ん、これが世界中のピザ屋が目指す総本山のピッツァなんだろかぁ?」

自分的には本場ナポリのピッツァに対する先入観ってものがあったので、評判の高い店のそれがまったく違ったモノでかなり混乱してしまいました。

とにかく来たものを食べて確かめてみなければなりません。結論はそれから。
サイズは3つあって、下からシングル・ダブル、それにたしかラージだったっけな? 無責任にも最後のは自信がありません。値段はシングルが、と言ってもかなり大きいです、たったの4ユーロ。ダブルサイズが4.5ユーロ。
なんだよそれ!? まったく腑に落ちないさ安さ。このサイズでこのお値段。もし今1ユーロ200円としたって充分安いのです。
こんなんで店やってんの?と思ったって、これで百年以上やっとるのです。

私たちはダブル・サイズのを一枚だけ頼みました。他のお客さんのを見れば結構おっきかったので。
しかし注文を取ってくれたおじさんは少し怪訝な顔をします。
「ほんとそれだけでいいの?」って感じで。
「ええ、それで結構です」と。
しかしこの判断を後々まで後悔する事になろうとは・・・・・・。

イタリア、食い倒れの旅13ピッツア編

ふと外を見れば、いつの間にやら黒山の人だかり。みなレジまで来て整理券を撮って行きます。その数はあっという間に数十番台までに。
私たちはたまたま谷間の時間帯に現れただけだった様です。
営業は午前11時から夜の11時までのお休み無し。あれ?意外に働き者さんたちなんですね。これもイメージ外。
と言う事は、夜の部が始まったばっかりだったので空いてた・・のではなく、運が良かったのかな・・・・・。
なんせ私は行列してまで何かを食べたりはしない性分。

運ばれて来たピッツァ。これが私たちの食べたやつでした。
さぁどれどれ、では食ってみますか、世界一のピッツァってやつを。

たった2日の滞在だったので、そう多くの所でピザを食べた訳ではないのですが、ナポリのピザに共通して恐らく言える事は、生地がけっこう塩っぱめって事です。
日本などでピザのメニューを見るとなかなか種類が豊富で、具材に味の主導権があるのかな、と思わせる程。
それに対して特にナポリ・ピザは基本的には生地が主役です。たがらトマトソースもモッツァレラも塩気控えめな分、生地にかなりの塩を含めます。
それと今では観光客向けに様々なバリエーションを用意していますが、地の人は余り具材の多く乗ったピッツァは好まない様です。
これは実はパスタにも共通して言える事です。しかしその話しはまた何れ。


結論から言いますと、これは確かに世界一のピッツァ・・・だったと言うこと。 もちろん個人の主観の内の話しですが。
でも少なくとも、私が生涯食べたピザの中ではピカイチに違いありません。
一口切り取って食ってアレ? ふた口目でおっ! 三クチ食ったらもうナイフとフオチークを持った手が止まらず・・・と言う案配。
しかし何がどう美味かったのか・・と訊かれれば、上手い説明が見付からないのですね。
ひとつはっきり言えるのは、トマトソースとモッツァレラが抜群に味が濃くってウマかったこと。でも生地との相性が良くって、3者のバランスがこの上なくいいので、いくら食べても食べ飽きない程だったこと。
まぁ、このくらいしか言葉が思い浮かばないのですね。

他のお客さんを見れば、ああなるほど、さすが地元の人、上手い食い方を知ってます。
ピッツァを真ん中から縁に三角に切り分けたら、薄い中央部分を何回か折り畳んで縁に寄せて行きます。そうしたら言わば巻物状になったピッツァを今度は適当に輪切りにして口に持って行けば、チーズやソースが悲しく皿に滴り落ちる事なく三位一体で食べられるのです。
こうして食うと更に美味さが増して大満足!
でも先入観にあったナポリ・ピザとは大きく逸脱した様相になってしまいます。しかし要はウマけりゃいいんです。見た目も大事だけど、結局それは二の次。


一通り食べ終わって再度店の外を見ると、待ってる人の数はギョッとする程になっています。殆どは地元ナポリの人でしょう。
この頃になると、私たちも観光客と地元民を大体見分けられる様になっていました。
妻はもう一枚追加注文しようと提案しますが、あの待ってる人の多さを考えれば、ここは席を次ぎに譲るべきでしょう。

結果として、後悔の残る注文になってしまいました。次ナポリに来るのは何時になることでしょう。
例えここまでやって来る道中バスでスリに遭遇しようとも、三千メートル級の山の稜線を思わせる冷たい強風に吹かれようとも、このピッツァは食うに値する代物です。
もっとも行列待ちはまっぴらですが。


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