2010年11月24日
ベアレン・クラッシック
岩手県盛岡市に約10年
前に立ち上げた地ビール
メーカー「ベアレン」。
ベアレンとはドイツ語で
熊の意味だそうです。
日本の若者2人とドイツ
から招聘したビール
マイスターの,3人で
始めた,一切他資本の
バックを持たないクラフト・ビールなんですね。今の日本の酒税法の元でビールの製造販売をやる
には,許認可から始まり,税法や最低製造販売量等の決まりがあり,大資本をバックに持たずに
個人が立ち上げた会社の経営を維持していくには,それはそれは苦労が絶えない事でしょう。
これまでに色々あったのでしょうが,こうして10年堅実にビールを作り続けてきた事に敬意を
感じずにはいられません。今までに幾多の有志がチャレンジをし,無念に敗退を余儀なく
されて来た事でしょう。
そんな意味で,非常に生存率の低い戦いに打ち勝って来た勇者でもあります。
こうした経緯や,人様の評判を聞いて,いつか飲んでみたいな,と狙っていたビールです。
一番いいのはそれを置いてるクラフト・ビールの店に行って飲むのがいいのは判っているのだけど
ここのところの出不精と,懐具合の加減で,じゃあ今回はお取り寄せで・・と言う運びになりました。
このベアレンさんの定番商品としては三つ。ひとつは小麦を主に原材料として使ったバイツェン。
もう一つはアルトと言う,ラガービールがメインのドイツにあっては上面醗酵酵母を使用したモノでは
いちばんのメジャー品目と言っていいエール・ビール。
そして最後に私が注文した「クラッシック・ラガー」。これは別名エキスポート・ラガーとも呼ばれる
そうです。何故にエキスポートかと言えば,ドルトムントが発祥のこのビールは,その名の通り
輸出が最も多いビールになったからなのです。つまり,外国に売るほどたくさん造った,からなの
です。十七世紀にラガービールが誕生すると,このすっきりしたビールは瞬く間にビールの主流に
なり,世界中で飲まれるようになりました。その時に一番多く輸出する様になったビールのタイプが
これだった,と言う事らしいのです。なので「クラッシック」。
まぁ,「オレがビールの王道だ!」と言ってるもんですね。すごいスゴイ。
ペアレンは立ち上げ当時の醸造主任がドイツの方。なのでドイツ・ビールを忠実に再現してるの
ですね。
適度に冷やし,栓を開けグラスに注ぎます。今回注文したのは330ml入りの物を1ダース。
先ずこのビンの美しさに感服します。デザインがとてもセンスいいと思うし,ラベルはシンプルかつ
印象に残ります。栓はしっかりしてて開け辛いほど。
ちなみにこのビンは2ダース単位で送り賃会社負担で回収して,リユースしています。環境への
配慮も高い醸造所なんですね。
さて注いでみますと,キメ細かめの泡が立ちますが,その後に直ぐ非常に透明度の高い少し
濃い目の小麦色の液体がグラスに溜まって行きます。
日本人の感覚ではラガービールとしては色の濃い方,との印象を受けますが,これがドイツでは
当たり前の色なのでしょう。
透明度の高さはちょっと驚く位で,グラスをかざして見ると,向こう側がブラウン色に染められて
はっきり見渡せるほどです。思わず美しい,と言ってしまいそうです。
しかし,これ,ろ過が掛かっているビールのようです。つまり,生きた酵母を除去しているビール。
味に余程自信があるのか,それ故に決めた状態を維持して飲んでもらおうと言う,いわば親心なんで
しょうが,これはちょっと残念。クラフト・ビールをわざわざ取り寄せ飲む時の楽しさのひとつは
その工房独自の酵母も一緒に味わう事です。その工房にはそこにしかいない酵母菌が醸す世界が
あるのですから。そして,やっぱっり酵母が醸す味わい深さは何にも替え難いのです。
美しい液体・・・・・なのですが,うぅぅぅん,残念。
で,味の方ですが,飲めばキメ細かめな炭酸が舌を心地よく刺激した後に,舌の根元の方にわりに
しっかり後を引く苦味が来ます。そしてそれに遅れる事少し,キャンディー様の甘味が口に広がり
ます。表現が可笑しいのですが,なんだろ,そんな感じ。強いて言えば・・青りんごのキャンディー。
モルティーな麦芽の甘味とも,キャラメル様の甘味とも違う感じ。
そう,印象として,甘味も苦味もはっきり主張してるビール。
この手の意匠を感じるビールは酵母プラスで飲めば奥行きの深さが良く現れると思うのですが
こうしてろ過された液体は,どうもストレート過ぎる印象を持ってしまいます。それ故残念。
こんどどっかのバーで「生」を是非頼んで飲んでみたいものです。
またバイツェンや季節限定モノは無ろ過商品もあるので,次回それらを注文してみましょうか。
Posted by Brewman at 17:41│Comments(0)
│ビール
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