2010年04月09日

ラガーの誕生秘話

ラガーの誕生秘話
もうしばらく前になって

しまいましたが,前回は

ケルト人がメソポタミア

留学して帰国後エール

ビールを造るまでをお話し

いたしました。

なので今回はビールの歴史

最終回,ラガービールの

誕生までのエピソードを

話してみたいと思います。前回同様,諸説あるなかでの推論なのをご了承下さい。

古代メソポタミアにケルト人がその進んだ文明を学びに訪れ,学んで帰ったモノのひとつに

古代ビールがありました。ケルトの人々はそれを彼らなりに製造法に改良を加えエール

ビールを造りました。上面発酵をしてアルコールを造り出すこの液体の醸造温度は常温で

それゆえ化学反応によってエステルを生み出し,それがエール独特のコクやフルーティーな

フレーバーを生み出します。ビールが苦手,と言う女性などはまずこのビールを飲んでみては

と思います。

ケルト人がメソポタミアに学んだ様に,ある日ケルトの地にバイエルン地方からゲルマン人が

やって来ます。交易が目的だったかも知れませんが,そこでゲルマン人はビールと言う不思議な

飲み物に出会います。ちなみに当時はローマではもう既にぶどう酒,つまりワインが飲料水代わり

に飲まれていたようです。もう時代はローマ時代,かなり文化的に洗練されてたようです。

ケルト人と同じようにゲルマン人はお国に帰ってビール製造に挑みます。

しかしであります,ケルトの地で常温発酵していたビールがバイエルンでは上手く行きません。

夏に造ると腐ってしまい,冬には寒過ぎて酵母が働かない。困ったもんだぁぁ・・・・

業を煮やしたゲルマン人は造った麦芽糖化液(ワート)を洞窟にしまい,さらに雪を詰め込んで

ひと冬貯蔵しちゃいました。これがどんな意図があったのか,或いはやけっぱちの思い付きだった

のかは知れません。けどその結果,翌春に思い掛けない事態を生み出します。

春になり洞窟から樽に詰めたワートを引っ張り出し試しに飲むと,これかすっきりとした

爽やかなアルコール飲料に変貌していました。ラガービールの誕生です。

酵母と言う菌は不思議なバクテリアで,強度の糖分・塩分・酸にもヘッチャラ,もちろん

自ら造り出すアルコールにもある程度まで大丈夫です。そしてカタチは多少違えど大体どんな

環境下にも生息しています。だから寒い所には寒さに堪えられる酵母がいるのですね。

ちなみに「ラガー」とはドイツ語で「洞窟」の意味だそうです。洞窟由来のビールなので

ラガービール。エールが常温で上面発酵する酵母に対し,ラガー酵母は10℃以下で比較的

ゆっくりと下面発酵して醸造して行くのですね。つまりエールとラガーの違いは使われる

酵母のタイプの違いであり,その結果出来上がるビールの性質に違いが現れます。


それからと言うもの,ゲルマン人の男どもはやたらと呑んべぇになったようで,ローマ人たちは

北方の野蛮人と馬鹿にしてたようです。今とはどちらかと言うと逆ですよね。おおらかな

ラテン系のイメージと,厳格なゲルマンの印象とが。

その後何世紀か時が流れチェコにピルスナー・ウルケルが誕生するのと,時そう違わず冷蔵庫が

普及し,あっという間にラガービールが世界のスタンダードとなっちゃったのですね。



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Posted by Brewman at 13:08│Comments(2)ビール
この記事へのコメント
アドバイスありがとうございました

以前、東急ハンズに「ビールキット」みたいのあって

作りたい願望ありましたが、難しそうでやめてしまいました

商売に力入れてない頃は、作る時間たっぷりあったのですが

最近は、色々仕事が増えてしまい、ビール作り迷っております

参考にして、作ってみたいけど、いつになるのやら・・・・
Posted by 竹家食堂のとびさん竹家食堂のとびさん at 2010年04月12日 16:53
こまかい事あげて言ったらキリがありませんが

ぜったい大丈夫,うまく行きますって。

ファーストラックってやつで美味いのが出来ますから。

ご商売柄大きな鍋や醸造用の樽みたいな物があるでしょうから

初期投資は少なくて済みますよ。

モルト缶を使えば簡単に短時間で仕込みは終わります。

案ずるより生むがやすし,やってみましょう!
Posted by BrewmanBrewman at 2010年04月12日 17:16
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